花火
「あ、ごめんなさ…」
「あぁー!」
その男の人はいきなり叫んだ。
「俺の金魚〜」
見るとそこは金魚すくいの屋台でその人はすくっている途中だったらしい。
左手に破れてしまった網を持っている。
「ごめんなさい!一回ぶん払います!」
私は50円を屋台のおじさんに手渡した。
「サンキュ」
その人はしゃがんだまま私を見上げて微笑んだ。
薄い草色の浴衣を着ている。
私は彼に惹かれるように隣にしゃがんだ。