レインブルー
狭い道を下っていくと、住宅街の中に青いレンガの家が見える。
ここに来るのは久しぶりだ。
最後に行ったのは先々月黒井に預けていたサーフィンボードを取りに来た以来。
相変わらず庭の草は茫々と生い茂っていて、まったく手入れがされていなかった。
子どもの頃に両親が離婚した黒井は母子家庭だと聞いていたが、働き詰めの母親はなかなか家に帰ってくることはないらしい。
いつでも女を連れ込めると黒井は冗談で笑っていたが、内心はどうだっただろうか。
幼い頃から背負ってきた孤独はきっと計り知れないものがあるんだと思う。
だけど黒井は俺の前では決して辛い顔を見せたりしないし、いつも明るく振舞っていて、俺は黒井のそういう周りを気遣うところを気に入っている。
ただずっと一緒にいる俺としてはもう少し頼ってくれてもいいんじゃねえかというのも本音だった。