レインブルー

アキラが帰ったあと、あたしは腰が抜けたようにその場に座り込んだ。


ーー竹内晃。


やっぱり彼は要注意人物だ。

家にまで来るなんて油断も隙もない。

幸いあたしがいたからよかったようなものの、もしクロとアキラの二人だけにしていたらどうなっていたたろうか。

最悪な事態を予想してぞっとする。

クロも同じように座り込んで頭を抱え項垂れていた。

クロはすぐに顔に出てしまうところが欠点。

その素直なところは長所でもあるけれど、今回ばかりは彼がヘマをしてしまわないか気が気じゃなかった。

たぶんアキラは彼の動揺を感じ取ったに違いない。

でもあたしもクロと同じ顔に出てしまうほうかもしれないけど、それでもクロよりはうまく嘘を突き通せたつもりだ。

だから根本的なところまでは踏み込めてないはず。

そう信じたかった。
< 125 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop