レインブルー
あたしは別れたばかりの男に視線を移した。
最近までずっと一緒にいたのに今は何もなかったかのようにあたしと男の間に距離ができてる。
男は別の女と肩を抱き合って笑っていた。
あたしがばいばいと言った時の男の表情は情けなかったのに。
結局そんなもの。
その程度の気持ちに過ぎない。
でもあたしも人のことは言えなかった。
藤木先生を忘れたくて男と付き合ったのだからそんな愛は壊れて当然だ。
「クロ」
「うん」
「あたしやっぱり先生のこと諦められないよ」
「…俺もだよ」
どうしようもない。
来年にはお互いの好きな人が結婚してしまうっていうのに。
告白もできない。
心から幸せを願えない。
何もできない自分にはがゆさを感じた。