レインブルー
階段を上がってすぐ左側にクロの部屋がある。
扉を開けると天井から吊り上げた黄色のサーフィンボードが目に入る。
壁はクロの好きなスポーツ選手のポスターで埋め尽くされてそれはいつもの光景だった。
でもどこか違う。
あたしは目を疑った。
中央に敷かれた布団から見えた白い足。
丁寧にネイルされた爪は淡い桜色をしている。
栗色の長い髪が螺旋を描いて眠った横顔はまるで子どものようにあどけなかった。
「どうして、クロ」
あたしは俯いたまま動かないクロにもう一度聞いた。
「なんで先生がここにいるの?」
クロの布団ですやすやと寝息をたてるその人は確かに七瀬先生だった。