僕が生まれた意味
「あっくん、本当にいいの?」
女の子が男の子に訊いた。
「うん!!僕の宝物つけてあげたいんだ。あゆみちゃんこそ、その髪止め大事にしてたじゃない。いいの?」
男の子に訊かれて、女の子は力強く頷く。
「いいの。だって、きっとこの子に似合うもん」
そう言って二人は笑い合う。女の子は屈み込んで、僕のすぐそばに座っている彼女に近寄った。
女の子が彼女から離れたとき、彼女の耳にはかわいらしい飾りが施されていた。
「うん。やっぱり似合う!!」
「本当だ!!じゃあ、僕も」
男の子が僕に近づいてきた次の瞬間、ふわりと柔らかいものが僕を包み込んだ。
僕の首に巻かれたそれが何なのかは僕にはわからなかったけれど、何だかとても暖かいものだった。
「あっくんのマフラーあったかそー」
「うん!!すっごくあったかいんだよ!!これでこの子も寒くないよね!!」
「だねー」
二人はまた笑いあって、手を繋いで帰っていった。
明日もまた僕らに会いに来ようと、約束を交わしながら。