僕が生まれた意味
 
「━━暖かい?」

 ぼんやりと男の子達の背中を見送っていた僕は、彼女の嬉しそうな問いかけにハッとした。
 なんだかとても気恥ずかしくて、ぶっきらぼうに僕は応える。

「こ、こんなの巻かれたら、消えるのが早くなっちゃうじゃないか」

「うん、そうだね……。でも君の声、あたしにはすごく嬉しそうに聞こえるよ」

「……」

 彼女の言う通りだった。
 怖さと悲しみでいっぱいだった僕の心を、いつの間にか喜びの感情が埋め尽くしていた。

「たとえ一瞬でも、誰かに大切に想ってもらえるって悪くないでしょ」

「……うん」

「やっぱりあたし達、生まれてきてよかったんだよ」

「……うん」

 僕は、心の中で、力一杯頷いた。

「━━でも、もしできるなら、あの子達とずっと一緒にいたかったな」

「うん。それはあたしも同じ気持ちだよ。そうだ!!天国でお願いしてみようよ!!今度は人間に生まれたいですって!!」

「いいね、それ」

 僕らは、さっきの男の子と女の子のように笑い合った。
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