僕が生まれた意味
きっと僕らはもうすぐ消える。これは変えようのない事実。
でも僕は、もう生まれてこない方がよかったなんて少しも思っていなかった。
僕らは生まれてすぐに消えてしまう儚い存在だけれど、こんなに短い時間でこんなに幸せな気持ちを知ることができた。
しかもひょっとしたら、僕らが生まれたことで、あの男の子と女の子に僕らが感じたような幸せを与えることができたのかもしれない。
それは、とてもすごいことだと思った。
明日、僕らに会いに来た彼らは地面に残るマフラーと髪止めを見て泣くかもしれない。
だけど、泣く必要なんてない。そう伝えたい。
彼らは僕らに、ただ生まれて消えてしまうことしかできない僕らに、生まれた意味を与えてくれたのだから。
「生まれてこれてよかった」
マフラーの暖かさを感じながら、僕は願った。
幼い彼らの心に、公園で作った雪だるまと雪うさぎの存在が生き続けてくれることを。
fin


