また君に恋をする




一瞬、記憶が蘇ると。
苦しくなる心を一生懸命隠す。



「隆平やって忠義やって僕と一緒やろう。」



机に身を任せながら力なく声にする。


「忘れることなんて出来ひんねん。そやろう?」

子犬のような目で忠義を見る。


「勘弁してや。」


頭をかく忠義。



「確かに忘れてへんで“そら”のこと。“そら”以上に好きになれる相手がおらんだけ
や。ってこれじゃ俺もお前と一緒やな。」



力なく笑う。



「それを言ったら僕だって。椎名を。やけどあいつはもうおらん。思い出に変えていくしかないねん。」


「思い出に・・・。」



虚ろな目で缶ビールをもて遊ぶ。





< 152 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop