また君に恋をする
一瞬、記憶が蘇ると。
苦しくなる心を一生懸命隠す。
「隆平やって忠義やって僕と一緒やろう。」
机に身を任せながら力なく声にする。
「忘れることなんて出来ひんねん。そやろう?」
子犬のような目で忠義を見る。
「勘弁してや。」
頭をかく忠義。
「確かに忘れてへんで“そら”のこと。“そら”以上に好きになれる相手がおらんだけ
や。ってこれじゃ俺もお前と一緒やな。」
力なく笑う。
「それを言ったら僕だって。椎名を。やけどあいつはもうおらん。思い出に変えていくしかないねん。」
「思い出に・・・。」
虚ろな目で缶ビールをもて遊ぶ。