レヴィオルストーリー3
「アレン!斬ってっ」


悪魔の少女に言われ、アレンはルネのいる牢屋に一歩入った。


スッと剣を抜くと、それを天使の少女の細い手首に向ける。



「…手、斬らないでね」


「…んなヘマしない」


無表情ながらも微かに不安そうなルネにそう返すと、アレンは軽く、小さく剣を振った。


ヒュッと風を斬る音とともに、ルネの手首に嵌まっていた手枷がガチャンと音をたて堅い床に落ちる。



真っ二つになったそれに、囚人達は思わず目を丸くした。






「…はい、終わり」


ルネの手枷足枷を全部外し、剣をしまうアレン。


少女は真っ赤な手首を擦り、すぐに自分で傷を癒した。



天使の力は治癒に特化した特殊な魔力。


これくらい造作もないことなのだろう。



「お礼」


ふと囁いたルネが、アレンの手首にも手を翳す。


擦れた手首の傷が消えるのを見ながら、青年も小さく礼を言った。



「…よしっ、もうこれで後は逃げるだけねっ!で、あなたたちはどうすんの?」


天井を見上げ上の階の音を聴き様子を見るアレンを一瞥し、グロアは囚人達を振り返った。


彼らは困ったように顔を見合わせたあと、揃って頷いてグロアを見やる。



「あたし達も、行くわ」



その女性の芯の強い声に、上を見上げていたアレンは微かに瞼を伏せた。




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