魔女の瞳Ⅴ
「……」

修内太が私の顔を見る。

何が言いたいのかはすぐにわかった。

つまり私にアレを使えというのだ。

デッドゲイト家に伝わる究極の『魔法』。

魔道の世界でも禁忌と呼ばれる、『禁呪・異界開門』。

竜種も、あの悪霊百禍さえも仕留めたデットゲイトの奥義ならば、たとえ武羅人でも確実に葬り去る事ができる。

「すまないメグ…またお前に負担をかけちまう」

申し訳なさそうに言う修内太。

禁呪と言うからには、私にもそれなりの負荷が伴う。

禁呪発動には私の胸にあるデッドゲイトの紋章を貫く必要がある。

私の肉体を異界に繋がる『門』と見立てる禁呪は、デッドゲイトの紋章を『鍵穴』とし、開錠する事で初めて発動するのだ。

勿論、肉体を貫くという行為は私にも相当の苦痛が伴う。

『再生』の魔術を以ってしても、この傷は容易には回復しない。

「やるからにはチャンスを見極めないと…失敗は許されないわ」


< 55 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop