魔女の瞳Ⅴ
とはいっても、この場で武羅人に禁呪を仕掛ける訳にはいかない。

禁呪はその性質上、その場にいる者全てを巻き込む可能性のある魔法だ。

加えて私は『限定』の魔術の制約により、人間を葬ってしまえば大きなペナルティが肉体に課せられる。

禁呪を仕掛けるならば人間のいない場所、或いは人間の入って来れない場所で。

それが大前提だった。

「……」

チラリと近くの看板を見る。

御影西PA(パーキングエリア)まであと200メートルと書かれている。

そこならば広い場所を確保できる。

「修内太」

私は視線だけでその看板を示した。

「あそこに結界を張っておくわ。私が結界を張るまでの間…」

「わかった」

言い終わる前に、修内太は私の意図する事を察する。

「武羅人は俺が引き付ける…けど、もって5分だぞ?5分以上は俺が殺されちまう」

「5分もかけないわ」

私は『飛翔』の魔術で飛び立った!

「3分で済ませる!3分後にはPAで落ち合いましょう!」

< 56 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop