5分100円 コインランドリー

3.木造の駅舎

久しぶりの、外出。

そう。今日が祖父母の命日。

5月23日。

毎年この日は、お店は朝から閉める。

近所の人も知っている。

暗黙の了解。


すっきり晴れた空に筋状の雲。まっすぐ、上に伸びている。

飛行機雲。明日は、雨が降るのか・・・。


電車に乗った。

2両編成の電車には、平日だからか人も、まばらだ。

下りの電車を利用する人は限られている。

買い物袋を抱えたおばあちゃん。

学校帰りの学生。

母親と電車に乗り、窓の外を覗く女の子。


時計は、丁度2時を指している。

田舎の単線。

一時間に一本。

駅には、駅員さんはいない。

都会の電車とは違い、スピードもゆっくりだ。

めまぐるしい都会の雰囲気とは違い、時間のスピードが違う。

何もかもが、ゆっくり流れる。

時間に縛られる都会。

自然環境に縛られる田舎。

違いは歴然。

しかし、無いものねだりの人々は、都会に夢を抱き上京する。

都会では、田舎の環境に理想を抱え、暮らしを移す。


いつの間にか、周りの風景も、田んぼや畑から、山の景色に変わり、木々が
茂ってきた。青々としている、葉がまぶしい。


到着したホームに、駅員さんはいない。

ここは未だに、木造の駅舎だ。

最近、設備も都会並みになったらしい。

かなり、ミスマッチな雰囲気になっている。

自動改札に変わり、特定のカードを翳すだけで、通ることができるようになった。

時代は変化している。









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