涙恋~RUIRENの魔法~
「なんか、シャンプーのいい匂いする~
なんのシャンプー使ってるの?」
私はクンクンしながら
背伸びをした。


その時だった。
背の高い愛斗が私をすっぽりと
隠すように
包み込んだ。


「ごめん・・・・・
こうしてるだけだけだから・・・・・」


私も居心地がよかったから
「うん・・・・」

そうつぶやいた。


「今日雨にやられたから
私臭いでしょう?
はずかしいなー」

「臭くないよ。
亜恋はいつもいい匂いがする。」


「香水まだ残ってたかな。」


愛斗は私の耳に柔らかい唇を
押し当てた。
私はくすぐったさに
身をよじる。

「あ、ごめん、耳にキスしちゃった。」
慌てて
愛斗が謝った。


「約束違反だね。」
私は笑った。

愛斗が体を離そうとしたから
あわててしがみついた。

「どうした?」


「ごめん・・・・
もう少しこのままでいてくれる?
愛斗に包み込まれていたら
心の傷がふさがるかもしれないから。」


「またきっと耐えられなくなって
耳に攻撃すると思うよ。」
そう言って
私を激しく抱きしめた。


ここに純粋な愛がなければ
このまま抱いて欲しい
忘れてしまうくらい
身をまかせたい・・・・・・


心も体も寂しかった。


でも愛斗には
私への愛があるから
それを踏みにじることはできない


でも私の女が騒ぐ

  抱いて


愛斗は知らない
私はこんな女だって・・・・・

愛がなくても
抱かれたい
だれでもいいから
体だけ愛して欲しい・・・・・


心のない
愛が欲しかった・・・・・

心は優だけのものだから・・・・・

愛斗に流されていく衝動を抑えた。
傷つけるのは
愛斗だけは傷つけたくない


優しい胸にしばらく抱かれていたら
急に心が安らかに
落ち着いてきた・・・・・・


私は愛斗の顔を見つめた。



「愛斗?
今、やすらぎの魔法をかけた?」
< 187 / 441 >

この作品をシェア

pagetop