涙恋~RUIRENの魔法~
「どういう意味?」



私は目の前の愛斗が涙で見えなくなった。



その場で座り込んでしまった。



「亜恋・・・・」


愛斗が腕をつかんだ。
私はあまりの脱力感でヘトヘトだった。



「大丈夫か?」


「愛斗・・・・・・
ユウが死んじゃうって・・・・・・
もうすぐ・・・・・
ここからいなくなる・・・・・・
私、ユウの最後の時まで
一人にしたくないの・・・・・・
私の腕の中で・・・・・・
旅立たせたい・・・・・
だから・・・・こんなことで・・・・・
邪魔されたくない・・・・・」



「コーチが・・・・・?」



私は愛斗の胸の中に
抱きしめられた。



大きくて厚い胸
すべて忘れさせてくれそうな
強い腕に抱かれて
私は泣き続けた。



「ユウの…・前・・・で・・・・
病気のことで・・・・
泣くのは・・・・絶対にいけないから・・・・・
ユウが笑ってるのに
私が泣いちゃ・・・・
いけないでしょ?」



愛斗に溶けてしまいそうだった。



ひたすら愛斗は力強く
抱いてくれた・・・・・・



「ごめん・・・・・・
また・・・・・
甘えて・・・・・・」




「かわいそうだな・・・・・
コーチも
亜恋も・・・・・・・・
まとめて・・・・俺も・・・・・・
コーチには・・・
勝てない気がする・・・・・」




「こんなに好きなのに
コーチから永遠に亜恋を奪えない・・・・・
ずっとずっと
亜恋の心の中に
絶対的な存在感で住み続けるんだな・・・・・
俺がどんなにがんばったところで
・・・・・ごめん・・・・
こんな時にこんなこと言って・・・・・
俺ってだめな男だろ・・・・・
支えてあげよう・・・・なんて・・・・・
かっこつけたって
心の中では・・・・・
俺のものにしたいって・・・・
考えてるんだ・・・・・・
自分がいやになる。」




愛斗の心の叫びは
ナイフになって
私の胸に突き刺さった。
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