涙恋~RUIRENの魔法~
優の手が私のパジャマのボタンに
かかった。



「どうしたの?」




「亜恋を覚えておきたい・・・・・
最期の時の笑顔と
今夜の亜恋と・・・・・・・
俺、きっと苦しくてこれだけで必死だから。」


細い指が私へ
最期の散歩に出た。



「私も忘れない・・・・・・
ユウの全てを・・・・・・・」




優はきっと最後の力を振り絞っている。


優の指と舌の
最期の散歩は愛しく狂おしく


私の体を散策していく・・・・・・・・・


感じすぎて狂いそうだった。



「俺を見て・・・・・・・・」


ひとつになる瞬間
優は言った・・・・・・・






「泣いてるの?ユウ・・・・・・」


「死にたくない・・・・・
ずっとずっと一緒にいたい・・・・・・・
亜恋・・・・・・
俺を・・・・・忘れないで・・・・・・」




力の限りで
優は私を突き抜けた。


私たちは泣きながらお互いの名を
呼び続けた。




もうすぐ・・・・・・
永遠の別れがくる前の
最後に一つになった最後の夜。



二人で感じる最後が
あと何回あるだろうか・・・・・・・


あれだけ悔いのないようにと
お互い思いながら暮らしてきたのに

悔いだらけだった・・・・・・



  もっと・・・・・
  もっと・・・・・


一緒に・・・・・いたい・・・・・・・・・



優がこの部屋で過ごす
最後の二人っきりの時間の幕が降りる・・・・・・・

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