涙恋~RUIRENの魔法~
「・・・いいたいことやっぱ言い切れない・・・
よかった・・・・俺のパソコンの中の・・・・
フォルダに・・・・あ・・・」


そう言いかけた時
モニターから警告音が鳴った。



私はコールを必死に押した。



「わ・・・ら・・・って・・・・亜恋・・・・
顔がみえな・・・い・・・・よ・・・」


「待って!!電気つけるから!!」



私が電気をつけて
ベットに戻ってくると
優は薄目を開けていた。



私は約束通り
笑顔で優の前に立った。


優の目から
一筋の涙がつたい落ちた時


医師と看護師が飛び込んできた。
両親もそのあとに続いた。

忙しく処置をする間も
警告音が鳴り響いた。



優は私を最後の力で
見続けていた。


「この約束、厳しいよ。
笑顔は…厳しいよ…ユウ………」


そう言いながら
私が満面の笑みをつくろったとき




  ピーーーーーーーーー




優の心臓が止まった・・・・・・・
私は涙があふれてあふれて
それでもまだ笑顔で立っていた。

優が絶対見てるから・・・・・・・




優の母親が私を後ろから
抱きしめた。


「ありがとう・・・・ありがとう・・・・
無理なお願いして
本当にごめんなさいね・・・・・」


医師が


「中村さん、立派に闘いぬいたね。
お疲れ様・・・・・・
22時05分でした・・・・・」



そう言って頭を下げて出て行った。


私は優の母親の胸で泣き続けた。



いつもの看護師が優に声をかけた。


「中村さ~ん。お疲れさまでしたね・・・・
いつも言ってたね・・・・
亜恋の前では、立派な男でいたい
だから泣き事は言わないって・・・・
立派だったね・・・・
よく頑張って耐えたね・・・・・・」

てきぱきと優をきれいにしてくれた。
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