涙恋~RUIRENの魔法~
「もちろんよ~
だってなんてったって
久し振りなんだもん~~」



鼻歌歌いながら加恋の
おめかしが進む。


私ももう一度鏡の前に立った。



  あんまりにも・・・・・


でもボーリングなら
この恰好しかないよな~

ひとつにまとめていた髪の毛だけ
おろして
アイロンで巻いた。



「ん、これでオッケーだ~
私らしくていいや~」


それでもリップだけは塗ってみた。
それだけでも
私の顔には充分だった。



カチューシャなんかつけてみよう。



加恋のおしゃれに比べれば
かなりの見劣りだけど
背伸びすることもない


年相応のお洒落を


そう自分に言い聞かせた。



「どこに行くの?」


「まずは改札で・・・・・」
ブツブツと唱えていた。


「加恋ってば~
変な子ね。」


しばらく歩いていると
加恋の思惑がわかった。



改札にでカードを買っているのが
愛斗と圭だった。


二人は歩行者が振り返るほどの
オーラを発していた。


 二人一緒だと迫力ある


そう思った時



「あれ~!?」

加恋が走り出した。







仕組んだのは
お洒落に着飾った加恋


「愛斗たちもどこかに行くの?」



「圭と買い物だけど・・・
おまえすごい顔だね。」


「すごいって
きれいでしょ?」


愛斗が私に気がついた。


「おはよう。」


「おはよ・・・」



「ね、一緒に行こうよ。
うちらも買い物なんだよね。」
加恋はすかさず
愛斗の腕をつかむ。



「どうする圭・・・・」


「俺はいいよ。」



圭が私を見つめた。



「亜恋、きれいだね。」


「何言ってるの~」
私はちょっと恥ずかしくなった。



うまくいきすぎのこの偶然は
加恋と圭の
作戦なんだと思った。


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