涙恋~RUIRENの魔法~
嗚咽が大きな深呼吸になって
身体が震えた。


「もう大丈夫。ごめん、一人でやらせて。」



「亜恋・・・・・
俺が魔法をかけてあげるよ。」


   魔法?

「俺が魔法使いだって
知っていた?」



   知ってる

「目を閉じたら
見えるよ。
魔法の入り口~」



熱くなった目を静かに閉じた。


「目が痛い・・・・」


「いいか?
心を無にして・・・・・」


「え?無?」



「はじめるぞ。」


顔にふぁ~っと
柔らかいものが当たった。


「え~?なに?」


「魔法の道具」


「呪文を言わなきゃ~」


「本格的だね~」



「亜恋が、悲しい恋で泣きませんように・・・・
俺なら亜恋を絶対泣かせないから
俺のことを亜恋が好きになってくれますように・・・・」


その柔らかいものが
私の目に滲む涙に触れた。



「亜恋・・・・
俺は、亜恋を好きだから
俺のこと見てくれるまで
待ってるから・・・・・」



「愛斗・・・・・」


「コーチと付き合ってたんだね。」

   加恋が言ったの?


「恋って悲しいものじゃないよ。
幸せで楽しくって
たまに悲しいこともあるけど・・・・・
心がつながってたら
絶対別れないでしょ・・・・・・」


「加恋から聞いた?」


「加恋に告白されたから
亜恋が好きだって言ったんだ。」


驚いて目を開けた。


「加恋の告白を断ったの?」

「ごめん・・・・・
でも俺は、亜恋が好きなんだ。」

「それで、ユウくんのこと話したのね。」

    仕方ないか・・・・・・


「愛斗ありがとう。
魔法にかかりそうだよ。
私も愛斗を好きになっている。」


「それじゃあ・・・・」
愛斗が笑顔になった。


「でもね、私にはまだ新しい恋をする資格も
元気も残ってない。」


「元気は、俺が与えてあげるし
資格なんて必要ない。
いつまでも終わった恋をひきずっていたら
だめだよ。」



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