【完】約束=願い事

十数年前、オレには本当の父と母がいた。


エリート育ちの父。

富豪令嬢の母。

当たり前の政略結婚。



そこに愛はなく、ただ後継ぎの為にとオレが産まれた。


父は仕事にしか見向きをせず、母は買い物やエステ、そして浮気に忙しかった。


当然の様にオレは小さい頃から家に残されることが多かった。


幸か不幸か、両親はオレに興味はなかったけど、
裕福な家庭だったから、家の掃除をしたりオレの面倒を見る人が頻繁に出入りしていて、困ることは特になかったように思う。


両親がいなくても生活なんて普通にできるものだ。

たまに帰って両親が顔を合わす時もウワベの会話を取り繕い合っていたのを覚えている。


それでもオレは、子供特有の一途さで両親に構ってもらいに近づく。


その度に殴られたりすることなんて茶飯事だったのに、
両親の愛情を求めてやまないオレはそれを何度も繰り返した。


けれどそれは6歳の時に終わりを迎える。



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