【完】約束=願い事
6
その願い事
まだ少し違和感のある、大きな家が建ち並ぶ住宅街を走る。
すっかり薄暗くなった今も、各家の電灯や飾付けで、この道は美しく輝いている。
「夢瞳さん?」
息を切らすわたしに声がかけられた。
崇佑…
必死に走りすぎていて、前から歩いてくる崇佑にさえ気付かなかった。
1週間程前の告白以来の顔。
気まずい気持ちはあるし、返事もまだだね…
ごめん。
あなたの告白の返事は決まってるけど、今は照に会いたいの。
だから、きっと傷つくことが分かるけど、崇佑に聞いた。
「照はどこに居る?」
「照…兄に会いに来たの…?」
やっぱり。
やっぱり、辛そうな顔…
ふんわりした雰囲気に似合わない悲しそうな目。
「……ごめ…」
「謝らないでよ、夢瞳さん。
照兄は河川敷に居ると思うよ。
俺も行くけど、一緒に行く?」
「うぅん、先に行くわ。」
わたしは逸る気持ちで、
今来た道をもう一度走った。
でも…どうして河川敷?