キヨツカ駅改札口にて

12の改札口






キヨツカ駅は、本日も快晴。
だいぶくたびれた駅構舎と、ときどきお札が引っ掛かってしまう切符券売機。
改札口から見える横断歩道の上には、線路の橋桁が、ちょうどよく日陰を落としています。
改札窓口には年配の駅員さんがいて、券売機前には新米駅係員のわたし。

朝と夕方にはたくさんの人々が行き交って、お昼過ぎには、下町ならではの常連さんがいらっしゃったりします。

午後2時半からの出勤だったわたしは、冬の濃紺に染まっていく空を橋桁の隙間から見上げていました。


「……ふう」


特別に忙しかった訳ではないけれど、それでも、心地よい疲れに一息ついてしまいます。


「サワダさん、あがりだよ」
「はーい」


駅員室からシバタさんの声がして、踵を返した後、1度だけ振り返りました。


「……明日もよろしく、キヨツカ駅」


キヨツカ駅は、本日も快晴。
だいぶくたびれた駅構舎と、ときどきお札が引っ掛かってしまう切符券売機。
改札口から見える横断歩道の上には、線路の橋桁の間からは、ちらちらと見え始めた小さな星。
改札窓口には年配の駅員さんがいて、券売機前には新米駅係員のわたし。

ここがわたしの、毎日の職場です。





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