竜の国Ⅱ




香りもいい。



薔薇と・・ラベンダーかな?



これ売り物だったら買ってこう♪



鼻歌まじりに泡を洗い流し

もう少し温まろうと

湯につかろうとしたときだった。



「こっちか?!」



鋭い声が耳に飛び込んでくるのと同時に

身体中に感じるお湯とは違うあたたかさ。



「こっちだ!!」



複数の怒りをおびた声。



自分を包み込むあたたかさを

人の体温だと理解する頃には

声とともに荒々しい足音も

こちらに近づいてきていた。





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