戦国遊戯
門での騒ぎを聞きつけて、中から小十郎が現れた。

「お主は!」

玲子の顔を見てびっくりする。何せ、自分の主君が嫁にこい、と言っていた相手の顔だ。忘れるはずも無い。

「一体、何用だ!?」

少し厳しい口調で問いただしてくる小十郎に、玲子は頭を下げて再度お願いする。

「政宗様に、どうしてもお伝えしないといけない話があります。どうか、政宗様に会わせていただけないでしょうか?」

小十郎は、少し難しそうな顔をしながらも、わかった、と言って、玲子と才蔵を中へと案内した。


政宗の、寝所と思しき場所で、才蔵は片ひざをつき、声をかけた。

「殿、先の娘が尋ねて参っておりますが、いかがいたしましょうか?」

「何!?」

「きゃっ!」

政宗の声と、女性の声が聞こえてきた。バタバタッという足音が聞こえたかと思うと、勢いよく襖が開いた。少し乱れかかった着物から、しっかりとした、厚い胸板が覗き見える。部屋の奥には、若い女性の姿が見えた。

「玲子か!よく来たな!」

抱きついてこようとする政宗に、玲子はキッと睨みつけた。政宗の動きが一瞬止まる。

「愛姫、部屋へ戻っておれ」

中の女性に、そう、声をかけると、女性は泣きそうな表情をしながら、部屋を出ていった。小十郎は深いため息をつく。

「さ、入れ」

政宗が招き入れると、3人は中へと入っていった。
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