戦国遊戯
「さて、用件を聞こうか」

政宗が玲子に向かって微笑む。玲子の表情は、真面目なままだ。

「政宗様の、暗殺計画を耳にいたしました」

政宗はにやっと笑う。その反応に、玲子は少し、眉を顰めた。

「…その反応は、どういう意味ですか?」

玲子の問いかけに、政宗は笑って答えた。

「さすがは聡明な女だ。放っておくにはもったいない」

玲子の前に移動し、玲子の顎をくいっと持ち上げる。玲子の目はまっすぐに政宗を見ていた。

「先日、面白い客人がやってきて、同じようなことを言っていた」

政宗の言葉を、玲子は黙って聞いていた。

「そいつは玲子と同じようなことを言っていた」

「…それで?」

玲子が聞き返すと、政宗はにっと笑って答えた。

「玲子、お主が暗殺者だと、そいつは言っておったぞ?」


…しまった、先を越された!


内心、舌打ちが出ながらも、玲子は平静を装った。

「織田の手の者ですね」

玲子の問いかけに、政宗は黙って頷いた。

「さて、ここで問題だ。2人が暗殺計画があると言ってきているが、俺はどっちを信じればいいんだろうなぁ?」

政宗の手が、玲子の喉の所まで下りてきて止まった。このまま力を入れられれば、死んでしまうかも知れない。玲子の喉が、ごくり、と鳴った。
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