世界の灰色の部分
「よくここがわかったね」
「前にもらった手紙の住所を見て。最初は上を見て表札がなかったからあきらめかけたんだけどね。昼飯食べるつもりで入ったらびっくりさ」
先生が答える。
「そうなの。最初は上に住んでたんだけど、子供が生まれてから今の、ヨシおばあのご好意でこのお店の裏のお家に住まわせてもらってて」
「姉さん子供がいるの!?」
わたしは思わず声をあげた。いつのまに、姉さんは母親になっていたのか。
姉さんはにっこり笑った。
「今は保育園に行ってる。女の子なの。帰ってきたあえるよ」
なんとなく嬉しくて、幸せな気分が胸にひろがった。「そーだ、柴田さんは?」
わたしは先ほどの調子のまま訊ねた。すると、姉さんは少し顔を俯け、答えた。
「彼は…もういないの」
「え…」
どうしていいのかわからなくなって、わたしは先生を見た。先生もまたわたしと同じように驚いて、固まっていた。
「川上先輩にも、謝らなきゃね。ごめんなさい。どうしても知らせることができなくて」
「…あ、いや…。そう、だったのか」
やっぱり、あのとき言ってた病気が原因だったのか。そんなふうに考えたわたしを察して、姉さんは話を始めてくれた。
「友裕さんね、HIVだったんだ」
「前にもらった手紙の住所を見て。最初は上を見て表札がなかったからあきらめかけたんだけどね。昼飯食べるつもりで入ったらびっくりさ」
先生が答える。
「そうなの。最初は上に住んでたんだけど、子供が生まれてから今の、ヨシおばあのご好意でこのお店の裏のお家に住まわせてもらってて」
「姉さん子供がいるの!?」
わたしは思わず声をあげた。いつのまに、姉さんは母親になっていたのか。
姉さんはにっこり笑った。
「今は保育園に行ってる。女の子なの。帰ってきたあえるよ」
なんとなく嬉しくて、幸せな気分が胸にひろがった。「そーだ、柴田さんは?」
わたしは先ほどの調子のまま訊ねた。すると、姉さんは少し顔を俯け、答えた。
「彼は…もういないの」
「え…」
どうしていいのかわからなくなって、わたしは先生を見た。先生もまたわたしと同じように驚いて、固まっていた。
「川上先輩にも、謝らなきゃね。ごめんなさい。どうしても知らせることができなくて」
「…あ、いや…。そう、だったのか」
やっぱり、あのとき言ってた病気が原因だったのか。そんなふうに考えたわたしを察して、姉さんは話を始めてくれた。
「友裕さんね、HIVだったんだ」