Spring*
ファミレスまでは歩いて15分。
道の途中で私は
「奇跡」の話を思い出した。

「そういえば!
奇跡ってなんだったの?」

「あ~,聞きたい?」

もったいぶる創馬。

「聞きたい聞きたい!」

にやっと笑った創馬は
ポケットから見覚えのない携帯を
取り出して,少しいじってから
私に画面を見せてきた。

「俺,携帯壊れたから
昨日変えたんだけど・・・
見ろよ,この番号!」

そこには,見慣れた
数字の列・・・

「あたしの・・・番号?」

「ん~,惜しいっ!
すげぇんだ,1桁違い!
他はピッタリ一緒!
奇跡だろ!運命!!」

電話番号って自分の
好きにできるものじゃ
ないんだろうし,
こんなことって・・・

「すごい・・・なんで!?
奇跡じゃん!運命!!」

創馬のきらきらした目に
吸い込まれるように,
私もテンションが上がって
今度は両手で
創馬とハイタッチした。
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop