恋の破片(カケラ)~ラブ&ピース~
百合は所長の隣でそれを見ていた。

「中に入ろう。」

所長に促されて、百合は中に入ったが、ずっと所長の隣で、無言だった。

「どうした?
元気がないぜ?」

所長の言葉も虚しく響いた。

いきなり知るよりも、前もって知っていたかった。

そしたらこんなにびっくりしなかったのに……。

所長がずっと百合の様子を静かに窺っているのがわかった。

大きな登り坂になった橋を渡る時、

「ほら、来いよ。
君だよ、百合ちゃん。」

そう言って所長が百合に手を差し出したら、前に百合を呼び出した百合より20才年上の既婚者で、所長を大好きと公言している女性が猛ダッシュして、所長をさらっていった。

うつむいて橋を渡った。
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