Rainy-Rainy
マンションの静香の家辺りを見上げる。

この二年、一度も行ってないあの部屋。

そこで、静香と晶人さんが何をやってるか。

……暴力だけやない。

はっきり聞いた事なんか無いけど、ウチらかて子供やないんやから想像くらいついてる。


「今日は休み、だな」

「それは…」


ウチらの間に横たわる暗黙のルール。

それは、久我家には近付かない、ただそれだけのこと。

行かんって約束があるわけでも、近付くなって釘をさされてるわけでもない。


けど、ウチらは久我家には近寄らへん。

あそこにはウチらが知りたくない静香がいて、見たくもない薄汚い男がいてる。

あの家で静香がどんな目にあってるか知ってて、でも静香が望んでそんな目にあってるのも知ってる。

せやから、ウチらは目を、耳を閉ざす。

その為のルール。


けど、



「なぁなぁ、桂」


マンションの中ほどの久我家を見上げたまま桂を呼ぶ。


< 106 / 107 >

この作品をシェア

pagetop