Rainy-Rainy
アルバム独特の固いページがめくられる音が、薄暗い室内に響く。

俺を責め立てるように繰り返されるその音は、やけに耳に障る。


「あの子は、久我先生に似てるから」

「……あぁ」


やっぱ、気付くよな。

……そりゃ、そうだ。

遊里が、気付かないはずがない。


「うん……やっぱりよく似てる」


ようやく先生の写真を見付けた遊里は、クスクスと嗤う。

背中越しには、遊里の表情は伺え無い。

だから今、こいつがどんな顔で笑っているか、俺には到底分からなかった。


分からないから、少し……怖かった。


「……恭ちゃん、やっぱり先生の事忘れられないのね」

「まぁ…な。まだ二年だからな」

「もう二年って、思えないかな?」


アルバムを片付けこちらを向いた遊里に、俺は首をゆっくりと左右に振ってみせた。


「そう。じゃ、やっぱり駄目だね」

「……遊里」


後ろに立った遊里の腕が、首に回された。

トクン…トクン…と、聞き慣れた遊里の、控え目な心臓の鼓動が伝わってくる。


「私はもう、あの女のせいで、恭ちゃんが壊れていく姿なんて見たくないから」


遊里の涙混じりの言葉が、耳の奥に突き刺さってくる。


「だからお願い、恭ちゃん。あの子の事、好きにならないで……」





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