Rainy-Rainy
………だけど、あの子は駄目。


二年前の傷がようやく癒えてきたのに。

ようやく、先生の死から立ち直り始めていたのに。


「どうして、今更あんな子が現れちゃうのかなぁ」


神様はサイテーだよ。

あれが、普通の子で恭ちゃんが好きになったのなら、私も少しは泣いちゃうけど、それでも祝福出来たのに。


なのに、どうして久我先生そっくりの顔が、今更恭ちゃんの前に現れるの?

そんなのって、残酷すぎる。


恭ちゃんは絶対あの顔に心を痛めているに決まってる。

ううん。

また、二年前みたいに壊れてしまうかもしれない。


そんなの、駄目。

もう二度と、あんな恭ちゃんの姿は見たくない。


「………っ」


ぎゅっと、傘の柄を握る。

手の平から血の気が失せて、真っ白になっていく。


「それなら、私が…」


そうだ!

それって、名案。

私が、恭ちゃんの『好き』になってしまえばいいんだ。

あの子も、先生も気にならない位、私の事を好きにしてしまえば…。


「それで円満、ハッピーエンド♪…………なーんて。あはは、私なんかじゃ…」


無理だよ、ね。

正直、自信なんてこれっぽっちも無い。

だって、もうずっと頑張って来たのに、未だに振り向いて貰えていないじゃないか。


……でも。


「……それでも、頑張らなきゃ」


傘を持った手とは反対の手を、強く握って胸に押し当てる。

不安を押し潰して、決意を強く固めるように。


大切な恭ちゃんが、もう傷付かないように、私が恭ちゃんとハッピーエンドを迎えるんだ。




†††††

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