NOEL(ノエル)

*

『Flora Copland』

黒光りする木製の扉の中央には、そう記された小さなゴールドのプレートが貼られている。

役職名で呼ばれる事を好まない校長が、『校長室』というプレートの代わりに着けさせたそれをちらりと確認してから、ミルクはその下をコツコツとノックした。

「どうぞ。」

中から年配の女性を思わせる落ち着いたトーンの声が響く。

「失礼します。」

ミルクはふっと軽く息を吸ってから、真鋳のドアノブに手を掛けた。

「早かったのですね。 Miss ミルク・ロウ」

柔らかな光が差し込む大きなガラス窓を背にして、白髪の婦人がその銀色の細長い眼鏡を外しながら微笑む。

「ヴィリジアンルームのPCがダウンしたと聞いたので、後で通知書を届けさせようと思っていた所ですよ。

他の生徒の顔ぶれを見ても、用件は既に伝わっているようですね。」
< 128 / 298 >

この作品をシェア

pagetop