恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
もともとミュウトはクチの悪いヒトだった。

でも……それにしても、今の言い方はひどすぎると思う。


「オレはお前の願いを聞いて、服を乾かせて、髪をセットしなおせる場所を提供した。そして、その願いも、もう叶った」


「………」


「だから終わりだ。これ以上はもう何もねぇ」


例えるなら、相手を崖っぷちから突き落とすような冷たい言い方だった。


「た、たしかにそうだけど……な、なにもそんな突き放すような言い方しなくても……」

いつの間にか声が思いっきり震えていた。

涙声といっていいと思う。

でも、まだ涙は出ていない。


さっきまで……、

さっきまで、その言動とは裏腹に本当は“いいひと”なのに、やさしさの裏返しでワザとクチの悪いヒトを演じているんだと思ってたのに……。

また気まぐれに……ねこの目のように急にキモチが変わったっていうの?
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