恋うつつ ~“好き”というどうしようもないキモチ~
嗚呼、切ない……。
こんなに、こんなに大好きなのに、なんて切ない運命なの~っ?
泣きたい。……ってか、もう泣いてるし。
「お前なぁ、中途半端なことすんなよ」
そう言って、ジャケットのポケットからになにやら小袋を取り出すと封を切って、その中身をパラパラとダンボール箱の中の2匹のこねこの前にバラ撒く謎のイケメン。
彼がこねこたちに与えたモノ……それはねこたん好きの間では“カリカリ”という単語で通用する、ねこのドライフードだった。
よほどおなかがすいていたのか2匹のこねこたちは、ライオンのような旺盛な食欲でカリカリにかじりつく。
みゃあー! みゃあー!
あたしがだっこしている茶トラのこねこもソレが食べたいのか、モーレツな勢いで“イヤだ、イヤだ”をしはじめたので、慌てて箱の中に戻してあげると、茶トラも他の2匹に負けない勢いでカリカリしはじめた。
「すごいね……カリカリをいつも持ち歩いてるんだ」
あたしは謎のイケメンの用意周到さに圧倒されていた。