Heaven
ひどい脱力感に襲われた。
握りしめていた枕を持つ手が徐々にゆるくなっていく。
『…理由は?』
なぜ返事をくれなかったのだろうか?
ヒカルはなぜさくらを振ったのだろうか?
さくらはこんなにもヒカルを想っているのに…
このまま一生想いが届かないなんて、残酷過ぎる。
『理由もなかったよ。でも電話の最後にね?俺のこと嫌いにならないでって言われたの。嫌いになることなんか出来ないのにね。笑っちゃうよ…』
さくらはこう言って、
にこりと笑う。
泣き顔なのに、でもさくらのその笑顔は幸せで溢れているように見えた。
《嫌いにならないで》
ヒカルがさくらに言った言葉。
その意味を知りたい、と思った。
どういう意味を持って言ったのか。
理由がなくては、こんなこと言えるはずがない。
ヒカルは頭がいい。
だけど俺と一緒で…
恋愛には不器用だったんだ。
誰だってそう。
恋愛を器用に出来る人などいない。
ヒカルは、
俺が思っていたより、
ずっと、ずっと、
不器用だった─…