秘密な時間



中山さんはその子にも冷たい口調で答える




だけど、その甘い声を聞くと胸がズキズキ痛む




苦しくなる




あの優しい目も


低い声も



大きな手も



全部独り占めしたいって思っちゃうから




だから




だから教習所に行けなくなった




中山さんの仕事を否定してるみたいな自分が嫌で



どうしようもなくて




1人で押し潰されそうになっていた




これじゃ片想いの時と変わらない




余裕のない彼女だな




あの子は自信満々だった



『絶対おとせる』なんて言ってた




あの子はどこからどう見ても可愛い




あの子じゃなくて私が選ばれるような理由はあるの?






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