明日への扉
あの背中は…



アイツ。




ずっと、ずっと目で追ってるから、後ろ姿でも分かる。






トイレから戻ってくる加奈が、その男子とすれ違った。




「加奈、今すれ違った人、誰?」



「えっ? 柴田くんだったよ。なんで? …あっ、四つ葉のクローバーじゃん! どうしたの?!」




「…今、ノートの上に落ちてきた。」



「ひょっとして… 彼?」



加奈がチラッと上目遣いで見ながら、クローバーを手に取った。





「分かんない、下向いてたから。でも、それらしき人がいなくて。」




「ふーん… 美穂が言ってたの、本当かもね。希と柴田くん、両思いじゃないかって。」




「そっ、そんなはず、ないじゃん!!」




ヤバイ…



顔が、熱くなってきた…





「ふふっ、可愛いー、希。 ま、大切にしなさい、彼からのプレゼント♪」




悔しいことに、反論できない。




ニヤける加奈が差し出したクローバーを受け取り、そのまま辞書に挟んだ。







< 148 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop