蜜愛
あちらのご主人は、息子さんの事を

くん付けで呼び、

私はそれだけが気になり

なんとなく話も上の空で聞き流し、ただただビールを口に含み、

早く酔えますように、と

煙が昇っていく空を幾度となく見ていた。


『へえ~、橘さんのところは、じゃあ割と新婚さん、なんですか』


その言葉で我に帰った。
< 172 / 421 >

この作品をシェア

pagetop