蜜愛
女の人の声みたいだし、開けたらマズイよね……

だけど。

靴はなかったような……??


私はここでグズグズ迷っている方がなんだか面倒で

兄さんの部屋をノックした。


『兄さ〜ん、いるの〜?』


兄さん、とは言っても一緒に住んだのなんてもうずっと昔。

すぐにこの家を出て行ってしまったし。
6つも年上で接し方もわからなくて。

ようやく最近、少しだけ顔を合わせたら話すようになったくらいだ。

兄弟ではあるけど、うちの中に勝手に他人が入りこんでいるような嫌な気持ちになっていた。

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