√番外編作品集
「それ、従妹って言わないと思うけどな」

敦子は手短に自分の身辺事情を話すと、だから血が繋がってないのと説明してきた。

霧島と似たようなものなのか。俊彦は心の中で付け足すと、潤と蔵持七海が重なって見えた。

輝き方は違っても、特別な光を持つ2人。

似たもの同士と言える気がした。

そしてそれに惹かれる2人、霧島と敦子。

いや、自分もその1人なのかもしれないと俊彦は今ならば思えた。

たわいもない会話をしながら路地を曲る。

敦子の話は延々と続いた。

潤と敦子が中学時代に付き合っていたこと。

彼女はまだ潤が好きででも潤はそれに答えないこと。

立幸館の行事や校風のことなど喋り続けた。

無言になると考えたく無いことを考えてしまうというそんな緊張した素振りだった。

ほぼ初対面の2人の間には、気まずい空気があったがそれはその会話の中でやがてうち解けた。

雨に濡れてしわしわになった地図を手でアイロンするようにして、次のライブハウスへ早足で歩く。


ライブハウスの隅々までチェックして

次のライブハウスへと移る。


何件かライブハウスを回るが、結果は空しい。

潤の姿はなくケータイの時計を見る度に疲労感だけが蓄積していった。

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