√番外編作品集
「俺は別に。頼って貰えるのは嬉しいし」

「じゃあ、敦子のことよろしくお願いします」


 え?


俊彦は表情を固めた。

「俺に遠慮しなくていいですよ。それに敦子も堀口さんに好意ありますよ」

「お、おおい、どうしてそういう流れに」

潤は、参考書を持つ手を止めて逆になんで、と問い返した。

「ずっと敦子を目で追ってるじゃないですか。山岡も気づいてますよ」

ずっと……目で? 

俊彦は焦って自分の視線を確認した。

今はしっかりと黒沢潤を見ているはずなのだが……

「あいつはリアクションも大きいし、嫌でも目にはいるのは分かりますけど」

「ま、まて別に俺は」

「堀口さん、顔赤いですよ」

潤は別になんともないという素振りで指摘をすると足を組んだ。

俊彦が筋道を立てて否定しようとしたが、彼は参考書と完全に向き合ってしまい、耳を貸してはくれなかった。

「ねぇ、堀口さん」

タイミング悪く敦子の声が背中に刺さる。

振り返るとすぐそこに敦子と千恵が立っていた。

「あ、また潤勉強してる~ 遊びに来てるのに意味ないじゃん」

「特進は2学期始まるとすぐにセンター対策の疑似模試するから、その対策だと思うよ」

「千恵だって潤だって余裕でしょ。あぁあ、嫌味に感じるよ」

どうやら男同士の会話は聞かれてはいなかったようで、女子2人は楽しそうに話を続けた。

< 203 / 256 >

この作品をシェア

pagetop