√番外編作品集
「お前のさその底抜けなトコ、山岡とかいい薬になるみたいだし」

「山岡ちゃんなんかあったわけ?」

黒沢は計算でもしていたんだろうか

適当に並べていたように見えたが

並んでいたグラスは、整合性の取れた三角錐に並べ変えられていた。

「蔵持七海」

黒沢ははっきりと一言だけそう言って爪の先でシャンパンタワーをカツン、と鳴らした。

「蔵持七海のことまだどこかで引きずってるんだろうな。あんなことがあって、以前のような生活に戻れっていうのは難しいかもしれないけど」

ビン……と耳にグラスの振動音が低く響いた。

説明するのが面倒なのか、黒沢は手を軽く振って話題を逸らした。

「山岡には考えさせるより、お前みたいにはっちゃけさせた方がいい。文化祭はそういう意味では丁度いいって思ったんだよ」

「そーだよ。そーだよな、山岡ちゃんのことは、任せろ」

俺は思いきりVサインをしてみせる。

考えてみれば、俺と山岡ちゃんが話をするようになったのはこの夏の事件からだった。

それまでは挨拶はしても、そんな話はしなかったし

お互いそんな興味はなかった。

「敦子はあれでいて、自分で整理できてるからな」

「いい女だよ敦ちゃん」

俺の言葉に黒沢は気色悪いものでも見るような目をしたが、あえて無視した。

なんにせよ、今まで山岡ちゃんには、俺は避けられているような気がしてたな。

まー頭、こんな色で校則違反しまくってれば、フツーの子にはビビられるか。

「お前もバカ騒ぎで元気になれよ」
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