√番外編作品集
「あ、ちょっと! 待ってよ!」

敦ちゃんの罵声が遠くなる。

自習室に逃げ込むと、黒沢は思いきりため息をついた。

「難関だなぁ、敦ちゃん」

意地悪い言い方をして、机に座る。

黒沢は嫌そうな顔をして、またため息をついた。

「お前はそう言って俺が面倒がってるのを楽しんでるくせにな」

「でもやるだろ?」

俺の言葉に、黒沢はゆっくり俺に視線を投げた。

「お前も山岡もそれで元気になりそうだしな」

「え、今なんつった?」

「何でもない。それにいっとくけど俺は特別なことしないからな」

「やるよな! よっしゃー! 山岡ちゃんも喜ぶよ」

黒沢が一瞬、呆れて笑ったように思えたが、いつもの事だし無視をする。

黒沢はキレイにセンタープレスされた制服に皺を作って足を組んだ。

女っ気がないのにいつもびしっと制服のセンターラインを入れていて、一体誰がやってるのかいつも不思議だ。

黒沢の横には、文化祭の準備のための備品が並んでいた。

「山岡も元気なかったからな」

「あぁ、なんかちょっと、なぁ……気になってるんだけどさ、俺じゃどうしよーもないっていうか」

「俺はお前に期待してたんだけどな」

「俺に? なんで」

黒沢はテーブルに並べてあったシャンパンタワー用のグラスを一別して、静かに並べていく。

ちなみにこれ、100円均一で買った、なんちゃって高級グラス。

「なのに北川とのごたごたでお前まで不安定になるし、面倒だよ、全く」

「あ……悪ぃ……気使ってくれてたんだよな」
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