√番外編作品集
「見れば分かるよ。一瞬誰かと思うくらいだったもん。どうしたの、鈴ちゃんに何かあった?」

「姉貴は別に。そうじゃなくて……」

自分の頬を自分で叩く。

「ごめん、混乱しててちょっと……嫉妬……」

「南都美がイギリスでもう新しい男でも作ったって?」

「違う」

早苗さんが首を傾げたが俺の様子があまりに挙動不審だったのが心配だったのか、早苗さんは近くの喫茶店へ俺を無理矢理引っ張っていった。

俺はひっぱられる腕にしか力が入らず

まるでこんにゃくみたいに早苗さんに引きずられた。

早苗さんは俺の好きなカプチーノとアメリカンを頼んで喫煙席の一番奥に座った。

「親友のさ、この前写真見せたでしょ」

「あぁあの子。あの子がどうしたの?」

「えっと……なんつーか…」

不思議だ。

南都美の事はなんでも早苗さんに言えたのに

山岡ちゃんのことを説明するのはすごく億劫だった。

何からどう説明していいか分からない。

「好きなんだよ俺の……えっと」

何か喋らないとと焦って口から出た言葉を、俺は自分で止めた。

なんでこんなに動揺してるか、自分でも理解してるのに言葉にすることができない。

数分の沈黙と整理を置いて、ゆっくりと続ける頃には早苗さんのタバコは2本目になっていた。

「俺の女神が、俺の親友を好きなんだ」

「女神って康平が言ってた運命の人でしょ?」

早苗さんが驚いた顔をして新しいタバコに火をつける手を止めた。

「前から知ってたんだよ黒沢が好きだって。その子から相談もされたし、俺ってば応援してたはずなのに、なんでだろ、急に自分も好きだって気づいて」

頭の奥がチカチカする。

「俺、なんか今すっごい嫌なかんじ」
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