√番外編作品集
不便だよな恋愛って、1人だけじゃできないから

「でも康平らしいわね。2人でいるところを見ただけで不安になって自分の気持ちに気づくなんて。繊細なこと」

早苗さんから伸びた人差し指が額をつつく。

その動作1つで、気持ちが落ち着くのはなんでだろう。


「今の康平は淡泊には見えないわよ。真剣に恋に悩むガラスの10代に見える」

「さ、早苗さん……」

自分でも相当情けない声を出したと思うが、早苗さんは笑ったままだった。



早苗さんと俺は、店を出て、近くの外人墓地へ向かった。

散歩がてら早苗さんと一緒に外を歩きたかった。


「ここからだと、夕焼けの海キレイじゃない」

「墓地から見たいとは思わないけどさ」

ここには、黒沢と山岡ちゃんの接点になった人が葬られていた。

ここにくるのは2回目で、来るたびに何か胸が押しつぶされそうな気持ちになる。

足を止めると、早苗さんが反応した。

「だれ?」

俺はうまく説明ができなくて、事故で死んだ人なんだ、と端的に伝えた。

「親友くんたち2人にとっても大切な人だったの?」

早苗さんの言葉に、俺はぎこちなく頷く。

「2人の接点になった人だよ……なにか、お互いをつなぐものがあるのってやっぱり違うよね」

備えられた薄いピンクのガーベラ

赤い涙のようなヒペリカム

白いバラの花束が海風に揺れた。
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