アルタイル*キミと見上げた空【完】
もつれる糸
「おはよう、汐!昨日は楽しんで来た?」
「え??」
た、楽しむって、何を?
バシンっと肩を叩かれて思わず首をかしげる私を、凛はじっと見つめた。
「汐・・・・なんか、あった?」
「え?う、ううん。何にも・・・?」
「ふ~ん?」
「ほ、ほら、早く用意しないとみんな来ちゃうから」
慌てて体育館の鍵を開けようとする私の手元は、バカ正直者で、なかなか鍵穴に鍵を差し込むことができない。
「ほら」
そういって凛の手がにゅっと横から伸びてきたかと思うと、私の手から鍵を取っていともたやすく扉の鍵穴を回す。
「汐ちゃ~~ん?こうやってまわすんだよ?」
うぅ・・・怖い。
「汐ちゃんにしては珍しいよね。なんか・・・・あった?」
ニコニコしながら、凛の口元全然笑ってないし。
「え、えっと・・・・あの、その・・・・」
・・・・昨日の晩、しばらく、というか出来るだけ周りには気づかれないようにしたい、って私が言ったんだ。
大会前の大切な時期に、周りに心配かけさせたくないし。
けど、けど・・・
この凛の迫力に私いつまでもつんだろう・・・早速の不安。