アルタイル*キミと見上げた空【完】
部屋に帰ってシャワーを浴びてから、あわてて家を出る。
今日は大事な日。
もしかしたら、今からの私にとっても区切りの日になるかもしれない。
朝早くから開いてる花屋さんで小さな花束を作ってもらい、丘の上を目指す。
この時間なら・・・・誰にも会うことはないよね。
目の前のお墓にそっと花束を手向けると、目を閉じて手を合わせた。
おじさん・・・凱のお父さん・・・・。
キーホルダー、ありがとうございました。
私は手の中でぎゅっとそれを握り締めた。
「おじさん、これ、もう外すね。せっかくもらったのに・・・・ごめんなさい。私も・・・・きっと凱もそれぞれ前を向いて歩くから、そのためにほんの少しだけ・・・・」
つぶやいてから、4年前のこの日。
凱のお父さんの命日の日に、「やるよ」って言った凱の言葉はまだ耳に昨日のことのように覚えてる。
「『拾った』なんてウソばっかり。しかもバレバレだし・・・」
クスクスと笑うと、風がさーっと頬を撫でていくように感じた。
おじさん!?
「無理しなくていいよ」
そんな声が聞こえた気がして、私はお墓に向かって深く頭を下げた。
おじさん、ごめんね。
そして・・・・・ありがとうございました。
あの夏。
凱に会わせてくれてありがとうございました。