アルタイル*キミと見上げた空【完】

何度かかけなおしても、もう修ちゃんのケータイにつながることはなかった。


気がつくと、もう電池もあとわずかになってる。


間の悪いのもいいとこだ。


「ははは・・・・何やってんだろ・・・」


徐々に強くなる雨に、タクシーに飛び乗るけど、行き先も告げることが出来ない。


そういえば・・・


昔、こんな雨の日だったな・・・あの時も、落ち込んでた私に傘を差し伸べて、それから手を引っ張ってくれた・・・・


あれは修ちゃんじゃない。


「彼」だ。


「お客さん、どこまで・・・・?」


戸惑ったように、後ろを振り返る運転手さんに、私はただ顔を手で覆ってうつむいた。


「凱・・・」


こんな時にまで、思い出が私を追いかけてくるんだ。


今だけだから。


今だけ・・・・



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