アルタイル*キミと見上げた空【完】
病室のこの扉の向こうには、凱がいる。
どういう状態なのかも、全然わからない。
けど、凱がいる。
・・・・生きてる。
生きてるんだよね。
凱。
凱・・・・。
扉の前から離れることが出来ない私を見かねたのか、病院の職員さんが、家族待機室まで案内してくれた。
離れたくない。
離れたくない、けど、何か頭にもやがかかってるみたいに、もう何も考えたくなくて、カーテンの開いた窓の外をぼんやり見つめていた。
日が沈むオレンジ色の空に、ふと今日の試合はどうなったのかな、なんて思ったりした。
『試合見に来いよ』
『・・・一緒に行こう、アメリカに』
『あの星空をまた見に行こう』
・・・・凱と交わした数々の約束が頭の中を何度も行き来している。
『ずっとずっと一緒にいるよ』
凱。大丈夫だよね。
ずっと、一緒にいるって、約束したよね。