アルタイル*キミと見上げた空【完】
「どうして?」
小さくつぶやいた声は聞こえないはずなのに、修ちゃんは笑ってあげた手を振った。
「探し物?もしかして、これ?」
あ・・・・。
目を凝らしてみると、修ちゃんの指の先で揺れてるのは確かに小さなバスケットボールで。
それは光を受けてキラキラと輝いていた。
「汐、降りてこいよ」
「う・・・うん」
なにがなんだかわけわからないけど、走って階段を駆け下りる。
そして、コートに続く扉を開けると、修ちゃんが、じっとゴールを見つめてた。
「修ちゃん・・・」
「汐・・・・俺ね。やっぱりバスケが好きだ」
・・・・・
「・・・・バスケやってたから、汐にも会えた・・・。こうやってゴールを見てた汐に」
「・・・・・」
「一目ぼれだったんだ。恥ずかしいけど、俺の初恋。だから・・・どうしていいのかわからなかった」
・・・いつの間にか片付ける人はいなくなっていて、ただこのコートの中には修ちゃんと私だけ。
金色のコートの上で、修ちゃんが少し微笑んだような気がした。